おせち料理の田作りを『ごまめ』という名前で呼ぶ人がいますよね
『田作り』と『ごまめ』って何が違うの?同じ料理だと思うけど違のかな?そもそも、よく考えると小魚はなんの魚のなのかと様々な疑問がどんどんわいてきた!と気になった方向けに、2つのメニューの違いを説明します。
正月のおせち料理にある小魚の煮干しを煮詰めた煮物は、一体、何者なのであろうか。
『田作り』と『ごまめ』の魚の正体は?なんの稚魚なの?魚の名前を教えて!
まずは、『田作り』と『ごまめ』の材料の小魚の正体を暴露します
『田作り』と『ごまめ』に使われる魚は基本同じ魚であり『鰯(イワシ)の子供』です
イワシの子供と言っても、イワシに種類がありますよね
大きめの真いわし、うるめイワシ、カタクチイワシの3種類が私たちがよく目にするイワシであり、『田作り』と『ごまめ』の材料の小魚は『カタクチイワシの稚魚(子供)』です
魚の名前 | カタクチイワシ |
分類 | ニシン目カタクチイワシ科 |
生息地 | 日本海、太平洋湾 (日本以外:台湾など) |
稚魚 | 3~4cm |
成魚 | 15~18cm |
天敵 | サメ、カツオ |
強敵 | カモメ、カツオドリ |
カタクチイワシは稚魚で3~4cm、大きく大人になると15cm以上になりますが、生息地域の海にはカツオ、サメがおり天敵だらけです
空からはカモメ、カツオドリといった鳥に狙われます
イワシとは『弱』と『魚』と漢字で書きますよね。大量の群れで活動してますが、その名の通り弱い魚であり、海と空は敵だらけ、そしてシラスが大好きな私達、日本人に年間3~4万トンほど捕獲されます
なるほど、『田作り』と『ごまめ』の材料の魚は簡単に言うと、シラスのことだな!と思った方、細かい話を言えば、シラスとは『鰯の稚魚の総称=真いわし、うるめイワシ、カタクチイワシの稚魚』であり、全部のシラスがカタクチイワシの稚魚じゃないよ!
でも、だいたいのシラスはカタクチイワシの稚魚なので正しいと言えば正しいです。シラスのお話は今回の内容に関係ないので『釜揚げしらす→しらす干し!ちりめんじゃこの違いとは?』で紹介中の記事を気になった方は読んでくださいね
『田作り』と『ごまめ』のレシピと作り方に違いはあるの?
『田作り』と『ごまめ』の材料の小魚は主に、カタクチイワシの稚魚です
材料は同じだけど、『田作り』と『ごまめ』のレシピに違いがあるから呼び名に違いがあるのかと思いきや、『田作り』と『ごまめ』の材料と作り方は同じです
レシピの比較 | 田作り | ごまめ |
材料 | 乾燥カタクチイワシ | 乾燥カタクチイワシ |
味付け | 醤油、砂糖、みりん | 醤油、砂糖、みりん |
作り方 | 炒る⇒煮詰める | 炒る⇒煮詰める |
上記がざっくり『田作り』と『ごまめ』のレシピと作り方をまとめた表です
比較してみても特に何も違いがありませんよね。醤油、砂糖、みりんの分量の割合に多少の違いがありそうですが、味は好みの問題であり、変わった食材をプラスしてない限り、同じ料理だと言えます
くるみ、アーモンドを入れるアレンジがありますが、『田作り』と『ごまめ』の両方ともレシピがあり、くるみ入りが『田作り』、ナッツ類が入ってないのが『ごまめ』という訳でもないです
では、『田作り』と『ごまめ』は材料、調味料、作り方に大きな差がないのなら、何が違うのでしょうか
『田作り』と『ごまめ』の違いとは?
『田作り』と『ごまめ』はレシピと作り方に違いはありませんが、『ごまめ』という名前を使うのは主に関西、近畿方面の方たちです
大阪、京都、奈良県が出身の方が『田作り』のことを『ごまめ』と呼びます。そのほかの地域は、日本全国、ほとんどの地域で『田作り』と呼びます
レシピの比較 | 呼び名 | 備考 |
関西・近畿方面 (大阪、京都、奈良近辺) | ごまめ | 10人に5人以上 |
北海道 | 田作り | おせち料理にあまり作らない |
本州 | 田作り | |
沖縄 | 田作り | おせち料理に作らない |
『田作り』と『ごまめ』の名前の呼び方を日本全国で簡単にまとめた表です
北海道はあまり田作りをおせちに作らないそうですが、沖縄が日本で最もおせちに『田作りを作らない地域』です
関西方面以外の本州の方は、10人に6~7人ほどが『田作り』とアンケートでお答えいただきました
つまり、『ごまめ』とは『関西の呼び名』であり、関西以外の人は『田作り』と言うよ!というのが結論です
ざっくり言うと関西の方言とだと思って良いでしょう。では、呼び方が違うのなら『田作り』と『ごまめ』に含まれる!縁起物としての意味に違いがあるのかを次に紹介します
田作りの由来と意味⇒おせち料理の縁起は?
おせち料理の『田作り』は『五穀豊穣と豊年豊作を願う』という意味があります
五穀豊穣とは、米、麦、粟あわ、豆、黍きび(稗ひえ)の5種類の穀物のことであり、今年の農業が豊作になるように、田作りを正月に作って食べるというのが由来です
では、なぜ?五穀豊穣と豊年豊作を願うことを『田作り=カタクチイワシの煮物』が関係するのでしょうか
江戸時代の頃より『生のイワシか魚油を採ったあと、乾燥させたイワシを肥料』として田畑に使っていたという歴史的な経緯があり『田んぼを作る肥料』が『田作り』としておせち料理に使われるようになったと考えると理解しやすい内容です
ごまめの由来と意味⇒おせち料理の縁起は?
おせち料理の『ごまめ』は『まめ』に『健康と達者=健康に優れる、健康に暮らす』という意味があります
鱓(うつぼ)と書いてゴマメと読みますが、難しい漢字であり『五万米』と記載される事が多いです
確かに、五万米と書いた方が、五穀豊穣と豊年豊作を願うにつながる意味となり縁起物らしく思えてきますよね
呼び方 | 意味 |
田作り | 五穀豊穣と豊年豊作を願う |
ごまめ | 健康に暮らす |
おせち料理の『田作り』と『ごまめ』の意味をまとめると上記になります
おせち料理としての意味以外、関西方面では『ごまめ』というと、ハンデキャップのある子供を意味する事があります
ハンデキャップと言うと障害がある子供を差別する言葉なのかと思いがちですが、ニュアンスと意味は真逆の『子供同士の遊びの中で、大目にみられる子=失敗しても許される子など』のことを意味します
昔は現在とちがって学校の友達と遊ぶのに親の許可や親子同伴じゃないと遊んじゃダメ!という時代ではなく、兄弟が2~3人いるのが普通でした
ごまめを鬼ごっこで例えると
小学校高学年のお兄ちゃんの友達と鬼ごっこをするとき『低学年の弟は遊びに参加できるけど、兄たちをタッチできないから鬼役に選ばれない(じゃんけんで負けても)』や『鬼役の兄や高学年の子供は、低学年の子供を本気で叩きのめすように捕まえない』という風に、低学年だから大目に見て、遊んでいた時に使った言葉です
暗黙のルールで年長の子供は、年下の子供の面倒をみて遊ぶ=ハンデが与えられる小さい子供を『ごまめ』と呼んでいたと考えると理解しやすいかと思います
さて、今回は、おせち料理の田作りのことを『ごまめ』と呼ぶ人がいるけど。ごまめってどんな意味があるの?どこかの地域の方言なの?と疑問を持った方向けに、田作りとごめまの意味と違いを徹底解説しました
おせち料理としての味付けのレシピや作り方に大きな違いはありませんが、近畿地方の大阪・京都・奈良方面がご出身の方は『田作りのことを、ごまめ』と言う世代もいるよ!というのが結論です