アニサキスの食中毒は一般的に毎年、300~400人の患者数と言われますが、他の調査報告では年間1000人ほどの発生件数という数字もあり、身近な食中毒の1つだと言えます。
刺身や釣り人からもらった魚を生で食べたら、激しい激痛や嘔吐に襲われた経験をするとアニサキスの怖さがわかるかと思います
今回は、アニサキスの食中毒が怖いから対策をしたい
アニサキスを誤って食べてしまったらどんな症状となるのか。また、アニサキスがいる魚の種類や見分け方、アニサキスの処理方法など!アニサキスに困った時の解決策のヒントになる知恵袋を満載でお届けします
では、まず、アニサキスの基本的な情報!アニサキスとは一体何者なのかという内容から説明します
アニサキスとは?アニサキスの見分け方と見つけ方!加熱すると何色?
アニサキスとは4月・5月の初鰹や秋の9月・10月はサンマ、通年流通しているサバやアジといった魚の内臓に多くいる寄生虫です
魚を釣ったり漁獲した後、魚が死んだあとは『内臓から魚の筋肉を移動』して『魚の身の部分』にいる事が知られています
名前 | アニサキス |
学名 | Anisakis |
種族 | 寄生虫(線虫) |
分類 | 回虫目アニサキス科 アニサキス属 |
大きさ (幼虫) | 長さ:2~3cm 幅:0.5~1mm |
色 | 白色、半透明 |
上記の基本的なアニサキスのスペック情報をまとめました
成虫のアニサキスは『5cm~20cm以上』と見てすぐわかるサイズをしていますが、クジラといった大型の海の生き物にしかいないとされます
私たちが目にするアニサキスとは『アニサキスの幼虫』であり、大きさは『長さ:2~3cm、幅:0.5mm~1mm』と小さく糸のような形をしています。色は白か半透明に近い色です。
稀に、刺身や生魚で白以外で茶色や黒い斑点のようなアニサキスの幼虫がいると聞きますが、白の透明タイプが普通のアニサキスです
写真のように小さく透明なアニサキスの幼虫を見ると、視力の弱い人は見逃してしまうレベルの寄生虫ですよね
魚の内臓や身の部分にいるという事は、見つける前に煮物や焼き魚にしてしまう事があると思います。アニサキスは加熱すると死滅しますが、加熱で死んだ後のアニサキスは『透明の白から、目で見てわかる白色』になります
国内養殖の魚はアニサキス対策で冷凍や加熱処理がされ、ほぼ大丈夫な状態で流通しますが、天然の魚をもらったりすると、アニサキスが普通にいることがあります
ブラックライト | おすすめ度 | 売ってる場所 |
津本式アニサキスライト | 最強クラス | 釣り具屋 アウトドア用品店 |
波長365nm | ★★★★ | 100均:一部あり |
アニサキスを簡単に見つける方法は、ブラックライトをあてると『光って発見』しやすくなります。釣り人の方がよく活用するのが『津本式のアニサキス専用ライトペン』が有名です
専門的な津本式は5000円以上するプロの代物です。100均で売っているUVライトペンやブラックライトで見つけることができないのか
お悩みの方は100均や家電量販店で売っているブラックライトが『光の波長365nm』と記載のあるブラックペンならアニサキスが光って見えます
お値段は100均だけど、300円のコーナーにある事が多いですよ!
ココ迄に、魚にいるアニサキスの特徴と生態系、簡単な見つけ方を紹介しました。次は具体的に『アニサキスがいる魚』を一覧で紹介します
アニサキスのいる魚の種類!アニサキスの食中毒が多い魚を一覧で紹介!
アニサキスがいる魚とは、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、鮭、マグロといった赤身と青魚に多いです。
アニサキスがいる魚とは、アニサキスの卵を食べた甲殻類のオキアミをエサとする魚たちです
アニサキスがいる魚 | 食通毒の季節 | 食通毒の数 |
サバ | 年中 | ★★★★★ |
アジ | 年中 | ★★★★ |
イワシ | 年中 | ★★★★ |
マグロ | 年中 | ★★★ |
シャケ | 年中 | ★★★ |
ブリ、ハマチ | 年中 | ★★★ |
鯛 | 年中 | ★★ |
カツオ(初鰹) | 4月、5月 | ★★ |
カツオ(戻りカツオ) | 9月、10月 | ★★ |
サンマ | 9月、10月 | ★★★ |
※★★★★★の数:アニサキスの食中毒が多い魚をわかりやすくランキング化した目安です※
最もアニサキスが多いとされる魚が、サバです。次に、アジ、イワシがアニサキスの食中毒が多い魚になります。では、他にどんな魚にアニサキスがいるのかを簡単に説明します
アニサキス | 宿主 |
【1】卵 | オキアミ |
【2】幼虫 | サバ、アジ等 |
【3】幼虫 | マグロ、カツオ等 |
【4】成虫 | 【最終宿主】 クジラ、イルカ |
【1】~【4】にアニサキスの食物連鎖をまとめました
なぜ?サバやアジ、もっと大きなマグロやカツオといった魚にアニサキスがいるのかといった疑問は食物連鎖が関係します
寄生虫であるアニサキスの最終宿主はクジラやイルカの中で成虫になります。成虫のアニサキスが卵を産み、クジラの糞の中に混ざって海に旅立ちます
次にアニサキスの卵を甲殻類のオキアミ(海老の種類)が食べます
そのあと、オキアミを食べた魚の体内で幼虫となり、その後は、サバやアジ、次に、マグロやカツオに寄生先を変えながら、最終的にクジラやイルカといった大型の海の生き物に、魚が食べられ成虫となります
このアニサキスの卵がクジラの糞に混ざり、オキアミのエサとなるといった食物連鎖の中でアニサキスは一生を過ごします
つまり、オキアミを捕食する魚の体内に、アニサキスがいるという結論になります
では、次に上記のアニサキスがよくいる魚のもう少し詳しい情報や各個別の特徴をみてみましょう
アニサキスがいる魚の種類⇒マグロにアニサキスはいる?いない?
マグロにアニサキスにはいないとされますが、マグロにアニサキスはいます。マグロのアニサキスの食中毒事例が少なく、確率上、あまりマグロが原因で食中毒にならないという理由です
マグロを食べた時のアニサキスの症状は『数時間から20時間以内頃』に『下痢、嘔吐、激痛』といった内容です。他の魚を食べてアニサキスの食中毒になった時と症状は同様です
魚の名前 | マグロ |
食中毒の数 | ★★★ |
アニサキスのいる場所 | お腹側 |
アニサキスの死滅条件はマイナス20度以上で24時間を冷凍する事です
私達がよく食べるマグロは『冷凍マグロ』であり、捕獲された後に冷凍されアニサキスが死滅した状態で流通します
マグロは養殖に成功したばかりの魚ですよね。天然のマグロを海で釣りあげて船の上で解剖して食べない限り、アニサキスの食中毒になる確率は非常に低いです。
もしも、マグロの刺身にアニサキスがいるのか気になる方は、マグロの内臓に近い赤身の部分なら探したら発見できるかもしれません
マグロの背中やお腹の『中とろ』や『大トロ』の方がアニサキスがいそうなイメージがありますが、内臓に近い場所の方がアニサキスが好む場所です
アニサキスがいる魚の種類⇒鯛にアニサキスはいる?いない?
白身魚の鯛にアニサキスはいるのか。天然の鯛は釣り人がよく釣り上げる魚であり、頂き物の鯛にアニサキスがいるのかが心配になりますよね
天然の鯛にアニサキスがいる確率は5%前後とされます。理由は、鯛がアニサキスの第一宿主である『オキアミ』よりも、もう少し大きな甲殻類(蟹、大き目の海老など)の方がエサとしてよく食べます
魚の名前 | 鯛 |
食中毒の数 | ★★ |
アニサキスの食中毒 | 少ない |
天然の鯛にアニサキスがいない訳ではないけど、エサとして食べているものからして確率上、鯛にアニサキスがいることが低いという理由です
天然の鯛は内臓を早く抜くといったテクニックをする釣り人が多く、対処されている方が多いと聞きます。もらった天然の鯛が不安な時は、刺身をやめて加熱するか、塩焼きにしたら安心ですね
天然以外の養殖の鯛は『イカナゴ(オオナゴ)』をエサとしている為、天然よりももっと低い確率でしたアニサキスがいないと考えて問題ないです
アニサキスがいる魚の種類⇒ブリやハマチにアニサキスはいる?いない?
ブリやハマチにアニサキスはいるのか。天然のブリとハマチは、アニサキスが多くいサバやアジを食べて大きくなります。鯖以外に、イワシやサンマを食べる為、普通にアニサキスがいると思いましょう
魚の名前 | ぶり、はまち |
食中毒の数 | ★★★ |
アニサキス | サバやアジから寄生 |
なるほど!ブリやハマチは、アニサキスがいるのね!と注意しますが、天然のぶりはアニサキス以外に『ブリ糸状虫』という『40cm以上になる寄生虫』がいます
ブリ糸状虫は食べても人間に感染せず、衛生上に問題はないですが、発見した時の大きさにびっくりです
アニサキスがいる魚の種類⇒カツオにアニサキスはいる?いない?
カツオににアニサキスはいるのか。カツオにアニサキスはいるというのが結論です。過去にカツオが原因のアニサキス食中毒は少なく、年間10件程度でした
魚の名前 | カツオ |
食中毒の数 | ★★ |
アニサキスの場所 | 事例は少ない ⇒今後の話は別だよ! |
マグロと同じく冷凍される為、一般に流通するカツオの多くは心配がないと言えます
しかし、サンマが取れない時代になり、逆にカツオの値段が下がっています。カツオを食べる機会が増える為、長い目で見ると『カツオだから大丈夫』と思わずに、注意をした方が良い魚だと言えます
ここまでに、アニサキスがいる魚の種類と特徴や食中毒になる可能性のあるパターンを説明しました。
結論を言えば、オキアミと食べる魚と食べた魚をエサとする大型の魚にアニサキスがいる可能性があるという事になります。では、次にどうしたらアニサキスの食中毒を防ぐことができるのでしょうか
アニサキスの対処方法と殺し方を簡単に説明します
アニサキスの死滅条件とは?アニサキスの対処法の知恵袋を紹介!
アニサキスの対処方法は物理的に発見をして包丁でさくっと処分をする以外は、加熱処理と冷凍保存という方法になります
アニサキスの対処方法として厚生労働省が推奨する内容が『70度以上、60度以上1分以上の加熱』と『マイナス20度以下、24時間以上の冷凍』の2つです
対処方法 | アニサキスの死滅条件 |
加熱処理 | 70度以上、60度以上1分以上 |
冷凍保存 | マイナス20度以下、24時間以上の冷凍 |
アニサキスは熱処理に弱く、仮に魚の切り身にいたとしても煮物や煮つけといった加熱する料理では完全に死滅します
温度の目安は70℃以上、60度以上1分以上が目安です
また、アニサキスは冷凍保存に弱いですが、正確には『アニサキス単体はマイナス8度で死滅』します。マイナス20度以下、24時間以上の冷凍が推奨される理由は『魚の中心部にいるアニサキスを冷凍する』のに、マイナス20度の温度と24時間が必要であるからです
アニサキスは家庭用の冷蔵庫で死なない!冷凍室で何日必要?
アニサキス対策の注意点は『アニサキスは冷凍したら死ぬ』という思い込みです。家庭用の冷蔵庫の温度は初期設定でマイナス18度であり、24時間冷凍してもアニサキスが死滅していないと言えます
家庭用冷蔵庫 | アニサキスの死滅条件 |
冷凍保存 | マイナス18度の場合 48時間以上の冷凍 |
では、アニサキスは家庭用冷凍庫で何日くらい必要なのか
アニサキスはマイナス8度の温度でアニサキスの芯まで凍らせる必要があり、マイナス18度の家庭用冷蔵庫では48時間以上が死滅の条件です
1日冷凍したらアニサキスは大丈夫というお話は業務用冷蔵庫や漁船の冷凍保存のケースです。家庭用は1日ではなく、2日以上の冷凍保存です
さて、今回は、アニサキスがいる魚⇒アニサキスの幼虫が寄生しやすいサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、鮭、イカを徹底解説しました
アニサキスの色は透明で見分け方が難しく、家で魚の刺身や巻き寿司を作る時は『包丁で細かく切る』や『マグロの柵を包丁で軽くササっとする』など。ちょっとしたテクニックを盛り込む必要があります
アニサキスは冷凍する事が死滅条件の1つであり、スーパーや魚屋さんに流通するルートとアニサキス対策を信用して、気を付けながら調理をしましょう